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​70年以上変わらぬ景色。これもポールさんが守ってきたもののひとつ。

石ころだらけの細い山道を登ると、眼下に湖水が広がる頂上にたどり着きます。そこは野生動物たちの楽園、野生ユーカリラディアータの森。向かい合うスノーウィー山脈に手を振るかのように、ラディアータの枝が、空に向かって伸びています。退役軍人だったポールさんのお父さんは、第二次世界大戦終戦直後に、オーストラリア政府から山奥の山林をもらいました。「好きなだけ持っていきなさい。」そう言われて選んだ800エーカーの森斜面の頂上に家を建て、当時はまだ外貨獲得源としての産業の一つだった、ユーカリオイルの生産を始めました。

 

生産者のポールさんは、この森で生まれ、父親がラディアータの枝を刈り取る腕の動き、眼差し、蒸留の手順、精油のテイスティングの仕方などを見ながら育ち、学校の勉強よりもユーカリオイルの蒸留を手伝うことが好きだったと子どもの頃を振り返ります。

精油生産にも近代的で便利な機械が使われるようになった今も、ポールさんは、70年前と同じ道具、同じ装置、同じ手法で生産を続けています。それは単なる家の伝統ではなく、理由があるからです。

 

特に大切にしているのは、特別なナイフによる手収穫。これが澄み切った香り高いユーカリラディアータオイルを生み出すからです。機械収穫は、柔らかいラディアータの枝にストレスがかかるだけでなく、葉が引きちぎられて蒸留が始まる前に精油の揮発が進み、香りに繊細さがなくなるだけでなく、香りの劣化も早くなります。また、採油率が機械収穫と比べて約2倍になるというメリットもあります。特製ナイフはサトウキビの収穫用ナイフと似ていますが、使いこなすには理屈だけではなく、経験による感覚も必要なため、刈り取る作業ができるのは、ポールさんと奥さんのアンドレアさんだけです。

​ bボイラーの熱源

​ボイラーの熱源もユーカリラディアータ

森のものを有効に利用しています

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